うちの近くには小さな酒屋がある。角のところにある個人商店で、お酒とタバコはもちろん、パンやおかし、ちょっとした雑貨も置いているお店だ。それに夜中の12時まで営業している。まるでコンビニなのだ。実際にこの辺の人はコンビニと呼んでいるらしい。
この角の酒屋を見ていると、ふと昔のことを思い出す。私が昔住んでいた町の、中学校の近くにあった個人商店。そのお店は、おじいちゃん世代はタバコ屋と呼び、お父さん世代は酒屋と呼び、若い人はコンビニと呼んでいた。似たようなお店なのかもしれない。
そのお店は中学校の直ぐ側にあって、夏休みの部活のときに、先輩たちがお昼ご飯を買いに行っていた。私はお弁当派だったのもあって一度も入ったことがないが、町の大人たちにとってもおなじみのお店だったらしい。
正式な店名があるはずなのだが、なぜみんなその店名で呼んでいなかったのだろう?コンビニというのは通称というか、親しみのある言い方ではあるが、当時の私にはこの呼び方がしっくり来なかったのだ。コンビニといえばコンビニチェーンを思い浮かべるし、小さな何でも屋を見てもコンビニとは思わないよなと。
こういうこじんまりした個人商店は、利用する人によって呼び方が変わるのもちょっと厄介だ。もしかしたら小学生は駄菓子屋と呼んだのかもしれない。
もっとも、何十年も前はタバコ屋といえばここ、酒屋といえばここと、町に1、2軒しかなかったのだろう。「タバコ屋に行く」と言えば、どこで買うかわかるといった感じ。それなら代名詞としてふさわしいのかな。代名詞というよりニックネームというべきか。ずっとそこにあって、町の人みんなが知っている、当たり前にそこにあるような、そんなお店なのかもしれない。
実は、そのお店でお昼ごはんを買っていたのは、私が1年生だった時の3年生だけだった。その後は自然と全員お弁当を持ってくるか、朝来る時にパンを買ってくるようになったので、私は部活の日のお昼休みに学校を抜け出して買い物をするという経験ができなかった。上級生になったら私もって思っていたのにな。
角の「コンビニ」には、今度入ってみようと思っている。
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